自然災害を「人類共通の敵」とするHRTF_①

Tadashi Inuzuka
2 min readJul 18, 2020

HRTFと言われても知らない方が多いと思う。音響工学に詳しい人なら、頭部伝達関数?が出てくるかもしれない。大編成オーケストラを指揮者の位置で聞くような臨場感を味わえる夢の技術だ。自宅でそんな音楽観賞ができると思うとワクワクするが、ここでいうHRTFは、Humanitarian Relief Task Forceという人道支援部隊構想である。台風、地震、津波、そして疫病などで困っている人達を、国際社会が協力して手を差し伸べる、まだ見ぬ常設国際機関だ。

現在日本では線状降水帯による豪雨で大きな被害が出ているが、同じ原因で中国三峡ダムの貯水量が危険水域を超えている。万が一決壊すれば億単位の被災者が出るといわれ、東日本大震災規模の国際的な救援が必要になるだろう。こうした事態に備えて各国の民事・軍事組織が共に訓練を重ね、同じ釜の飯を食って準備をしておくのがHRTFである。もちろん自然災害だけでなく、コロナ禍のワクチン開発等も一国単位ではなく、国際協力の中から生まれるはずだ。こうした開発を促進し、ワクチン摂取に当たってはどんな地域にいる人も取り残さないような活動に協力する事もHRTF活動の一部になるだろう。地球温暖化やパンデミックという、パスポートのない問題に対するパスポートのない答えを平時から用意しておくのである。

科学技術の進歩だけを見れば、あと10年、あるいは20年で人間が火星に移住できる時代になるだろう。しかし、それが本当に実現するかどうかは、地球規模の問題に国境を超えて取組む政治の実現にかかっていると思われる。国家間のバランス・オブ・パワーばかりでなく、「人類共通の敵」に対する共同戦線を組む必要があるのではないか。その代表格の一つが自然災害やパンデミックに協調して対応するHRTFになるはずだ。これからこの構想の具体的な姿をシリーズで考えて行きたいと思う。

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Tadashi Inuzuka

WFM-IGP Executive Committee member, Former Senator of Japan